時に流行った、バズったコンテンツはマスメディアと同じくらいの影響力を持って多くの人々のもとに届きます。
見る人によって色が違うドレスや、スイカに輪ゴムを巻いて破裂させる動画をはじめ、世界中のエンターテイメント情報を発信しているBuzzfeed。
そんなBuzzfeedのパブリッシャーであるダオ・グエンが、注目を集めるコンテンツの秘密を明らかにしました。
Buzzfeedってなあに?
みなさんは、インターネットサーフィンをしていて一度は目にしたことがあるかもしれません。Buzzfeed(https://www.buzzfeed.com/about)
BuzzFeedは世界中の人々にニュースとエンターテイメント情報をお届けする、先進的で独立したデジタルメディア企業です。
ちょっと変わった視点から身近なものについて取り上げていたら、それはだいたいBuzzfeedの記事です。
社内向けの内輪ネタがバズった
Buzzfeedのパブリッシャーであるダオ・グエンは、Buzzfeedの社員自身が注目を集めるコンテンツについて考えるきっかけとなった出来事を取り上げました。オフィスのドアを開けたら、ヤギと目が合いました
Buzzfeedの社員が、上司の誕生日にドッキリを仕掛けました。上司のオフィスにヤギの赤ちゃんをいっぱい詰め込んで、上司がヤギに驚く様子をライブ動画に収めようとしたのです。
開始から10分ほどで上司が来て、数百人の社員がそのリアクションを楽しんで終わるだろうという算段でした。
来ない上司
ところが、その上司がなかなか来ない。すると、徐々に多くの人がヤギ目当てでこのライブ配信を視聴するようになったといいます。
結果として、上司が自分のオフィスでヤギたちと対面したとき、視聴者数は9万人に上りました。
たった30分の間にですよ?
※26分ごろにターゲットの上司が現れます。
Buzzfeed社員が期待していなかったバズり
注目を得ようと企画されていないのにも関わらず、この上司とヤギの動画に多くの注目が集まったことについて、Buzzfeed社員は考えてみたといいます。なんと、動画に寄せられた8万2千件のコメントにすべて目を通してです!
上司とヤギ動画が盛り上がった理由の仮説
Buzzfeed社員たちは、動画がバズったことについて思案しました。動画がウケた要素として想像できるのは、動物の赤ちゃんはウケがいいからだとか、職場でのサプライズ、誕生日サプライズが人気だからだとかですよね。
しかし、Buzzfeed社員は動画の内容についてはあまり考えなかったそうです。
そして、視聴者が何を考えて感じたかを考えたそう。
その結果、
「これから何かが起こるかもという”共通の期待”を持った集団に参加していた感覚」
が大きく影響したのではないかと仮説を立てたそうです。
確かにオリンピックや甲子園で選手を応援するワクワク感の中には、競技への関心やおらが村の意識だけではなくて、みんなで同じようなドキドキをもって結果を見守っているって感覚がある気がします。
それに近い感じでしょうか。
スイカ爆発
仮説を立てたというのですから、当然Buzzfeedは検証をしました。
スイカに輪ゴムを巻いた動画というのはご存知の方が多いかもしれません。
防護服を着た2人がひたすら輪ゴムをスイカに巻いていくというライブ動画を配信しました。
690本目の輪ゴムを巻いたところでスイカが爆発し、Facebookのライブ動画で過去最大の視聴者数をレコード。
その数なんと80万人!
仮説は実証されました。
コンテンツを流行らせる方法
Buzzfeedのパブリッシャーとして活躍するダオ・グエンは、コンテンツを流行らせる方法は何かという問いにこう答えています。「よく聞かれるけど、その質問は的外れなのよ」
メタデータは意味がない
コンテンツが動画であれ記事であれ、客観的なデータについて気をすり減らすのは意味がないのです。ウケる素材、時間、構成、画像の数、文字数、キーワードと言ったものを分析することは面白いですが、Buzzfeedではそういった内容については考えていないそうです。
コンテンツ視聴者の生活にどんな役割をもたらすものか
大事なことは、コンテンツを読んだり観た人が、いったいどんな気持ちでいるのかなのです。私たちは意識的であれ無意識であれ、動機をもって行動しています。
すべてに理由や根拠があるのです。
街の大道芸人に足を止めた、記事のタイトルをクリックした、ご飯が3食続けてカレーになった。
Buzzfeedはこれらの心理について考えてみることが、流行るコンテンツにつながると考えているそうです。
では、いったいどういった実践をしているのでしょうか。
文化地図の作成

文化地図という、コンテンツを役割によって色分けし、位置的に分類した図を作りました。
長年取り組んできたことを形式化したそうです。
例えば、「自己表現系」のカテゴリーには、”生い立ち”、”育った環境””マイブーム”などが属します。
コンテンツがユーザーに対してどういった役割を果たすかを細かく分けて、それによってターゲットを設定しているのです。
受け手が見過ごされている
グエン氏は、コンテンツの分析に関して多くのメディアは視聴者の心理についてあまり意識していないと言います。コンテンツの視聴者数はどのくらいで、フォロワーは何人増えたかといったデータにばかり気を取られているというのです。
受け手はどんな人で、どうやってたどり着いて、どこへ行き何を気にしているのかといった心理。
これを分類したものが文化地図なのです。
まとめ
多くの人の注目を集めるコンテンツを多数発信するBuzzfeedは、ユーザーの心理を考えていたのですね。コンテンツをしっかりと分類することで、その心理にマッチさせるような取り組みがなされていたなんて、驚きです。
マッピングをやってみると、発信する情報を整理できていいのかもしれません。