学校のテストでいい成績を収めると、お小遣いがもらえること?周りの友達が尊敬してくれること?
仕事で成功を収めると出来高をもらえること?
ご褒美に美味しい食べ物を食べること?
お金にせよパンケーキにせよ娯楽にせよ、モチベーションになるものは何かしらの報酬であることが多いと思います。
しかしその報酬、あなたの作業効率を下げているかもしれませんよ。
高い効率で課題に取り組むためにはどうすればいいのでしょうか。
注意すべきことをまとめます。
課題の心理実験 カール・ドゥンカー
ご褒美が課題の遂行に影響を与えることは、合理的で客観的な実験によって、明らかにされています。まず初めに、その課題の遂行能力を測る実験をご紹介します。
ロウソク課題 (ドゥンカーのロウソク問題,1945)

実験参加者はロウソクと画鋲、そしてマッチだけを渡されて、こう指示されます。
「テーブルに蝋がこぼれないように、ロウソクを壁に取り付けてください」
あなたならどうしますか?
この問題、簡単そうに思えて最適な答えを出せる人が少ない条件なのです。
鍵となるのは先入観にとらわれないこと。
先入観を脱する 機能的固着がポイント

いやちょっと待て、使っていいのはロウソク、画鋲、マッチだけって言ったじゃないか。
おっしゃる通りです。
安心してください、ロウを溶かして壁にくっつけたりしたあなたは多数派です。
箱を使わない人が多いのは当然なのです。
私たちは画鋲入れが画鋲入れであるという前提のもとに課題に取り組んだまでです。
しかしロウソク、画鋲、マッチという条件はそのままにして、箱を画鋲の横に並べて提示すると、この課題に取り組んだ人のほとんどが画鋲で箱を止めるという解に到達できました。
画鋲入れを、実験で使用可能な道具として認識できたためです。
箱を使っていいという指示はなかったにも関わらずです。
想像力・創造力が先入観によっていかに制限されているのかに関する実験でした。
課題とご褒美の関係 グラックスバーグの実験
ここからが本題です。カナダの心理学教授、サム・グラックスバーグは先ほどのドゥンカーのロウソク問題にある条件を加えました。
褒賞の有無です。
課題を解ける速さに応じてお金を渡すと言ったのです。
参加者に与えられるご褒美は、成績のよさに比例して高くなるように設定されました。
そして、褒賞ありのグループとなしのグループに分けました。
グループA「課題解決の速さ上位25%の人には500円、1番になれば2000円渡す」
グループB「この課題を解くのにかかる一般的な平均時間を知りたいので解いてください」
あなたはどちらの条件の人が速く課題を解けたと思いますか?
褒賞なし群の方が、成績がよかった
そうなんです、なんとグループBの方が速くロウソク課題を解決したのです。褒賞あり群の方は、ない群よりも平均で3分以上課題の解決に時間がかかったのです!
画鋲で箱を止める課題にですよ!
報酬の存在は、視野を狭めてしまうんだって
成功報酬は効果なし!?
ドゥンカーとグラックスバーグの実験は、40年間にわたって何度も再現されてきました。課題を成功させたらご褒美をあげるよというやり方は、多くの作業ではうまくいきませんし、効率を下げかねません。
事実、経済学者たちが成功報酬型システムを採用する51企業を調査したところ、パフォーマンスを下げている恐れがあるとわかりました。
高いパフォーマンスを発揮するためには何がいいの?

私たちは高いパフォーマンスを発揮するためにはどうしたらいいのでしょうか?
また、ご褒美の存在は本当に悪なのでしょうか?