それらの能力をまとめて備えた選手は5ツールプレーヤーと言われています。
対して「不意に飛び出る」・「素早い」・「見た目が気持ち悪い」・「しぶとい」・「大量発生する」のヘイト5ツールを備えた彼らも、春から秋にかけるシーズンを通して大活躍しています。
昆虫です。
虫かごを首から下げて原っぱを駆けていたあの頃。
♪あれ松虫が鳴いている~あれ鈴虫も鳴きだした~と、楽しく歌っていたのも今は昔。
お願いだから姿を見せないでくれ。
カブトムシ?臭いじゃないか。
モンシロチョウ?蛾と何が変わらないっていうのよ。
そんなあなたも思わず気になってしまうはず。
昆虫たちの”夜の営み”についてご紹介!
昆虫の世界では主導権はメスにあるのだそうですよ!
※ぜひとも環境の整っている方は「さそり座の女」を聴きながらお読みください
♫ さそり座の女 ♫ 美川憲一
昆虫は人々の恐怖の対象

『ブック・オブ・リスト 世界なんでもランキング(1973)』では、人前でのスピーチに次いで人々の恐怖ランキング2位になったそうです。
だけど、あなたの枕元に大きな蛾やゴキちゃんが現れるくらいなら、誰でも渋谷でマイクを握るほうを選ぶのではないでしょうか。
虫とクモと合わせると、人前でのスピーチを上回り堂々の一位なんだとか。
進化生物学者マレーネ・ズク女史が昆虫を愛する理由
そんな人々の嫌悪の対象である昆虫を、子猫やパンダと同じくらい愛してやまないのがカリフォルニア大学の進化生物学者であるマレーネ・ズク女史。「あなたの食料の30%は虫が受粉したお陰で食べられるのよ」
彼女が昆虫にここまで没頭する理由は、昆虫の行動から人の研究ができるからだといいます。
・医学的研究
昆虫は、科学者たちがヒトの神経系や遺伝子の働きを明らかにするためのヒントになっているんですって。・社会的な行動の研究
私たち社畜がしばしば働きアリに例えられるように、昆虫もヒトと同じような振る舞いをするそう。愛し合って、ケンカして、いろんなこと二人で乗り越えて……。
・虫の交尾がすごい面白い!
しかし虫たちが見せるヒトっぽい行動は私たちの行動とは動機が大きく異なっていて、その違いこそ多くの発見を与えてくれるといいます。マレーネ・ズク女史は、中でも昆虫のセックスは人間のものよりはるかに面白のだと考えています。
我々人間のもつ性別の概念にインパクトのある示唆をくれるからです。
昆虫のH

営まない昆虫
子供をもうけるために営まない昆虫はとても多いのです。中学校の理科で習った無性生殖を思い出してください。
例えば、メスのアブラムシはカップルにならなくても自分のコピーを作り出せるといいます。
人間では、どんなに強い女性でも不可能なことです。
ほら、窓の外の植木で、買い物かごの菜っ葉の中で、お母さんがたくさん誕生しているのかもしれませんよ!
精子がメスを争う昆虫
私たち人間は結婚して夫婦になれば、たいていお互いの子孫を残すことができます。(週刊誌沙汰になれば別ですが)
しかし、昆虫の中には営みが終わったあとも子孫を紡ぐ争いがあるというのです。
・精子が自分の”体長より長い”虫
ショウジョウバエ、と聞くだけで眉をひそめたくなるでしょうが、まだ早いです。なんとショウジョウバエの中には、オスの精子が自分の体長より長い種類がいるそうです。
男性のあなた、想像してください……!
・熊手みたいなペニスをもつ虫
トンボのオスは、熊手のように広がったペニスを持っているそうです。彼らはその熊手を使って、メスの体内から前に営んだ男性の精子をかき出すのだとか。
チンパンジーもこの次元で争いをするので乱婚なのですよ!
男女のイメージに示唆を与える
マレーネ・ズク女史いわく、これらの昆虫から私たちが学べることは営みの奔放さではなく、オスとメスの性別イメージについてです。あなたは虫の世界ではオスが強いというイメージを持っていませんでしたか?
カブトムシの角やクワガタのはさみに見られるように、オスが支配的でメスが受け身であると思っていませんでしたか?
オスが夜の営みに慎重な虫

出費が多いキリギリス
キリギリスのオスが夜の営みでメスに渡すのは精子だけではないといいます。自分の体重の3分の1に及ぶ栄養をメスに与えるそうです。
メスは交尾の最中からずっとそのプレゼントを食べ続けるといいます。
想像しましょう、人間の男性が営みのたびに20kg以上に及ぶ物質を作り出して女性にあげなくてはいけないとしたら?
それと同じことがキリギリスにも言えるため、オスのキリギリスはカップリングの相手をとても慎重に選ぶそうです。
対して、メスのキリギリスはご飯をたくさんもらおうとして積極的なのです!
昆虫の生態解明を性別の思い込みが邪魔していた
このように、実際の昆虫の営みはメスが主導である場合が多いことが分かりました。昆虫においてメスが果たす役割の大きさは、交尾だけにとどまりません。
対してオスは虫の生活にとってはあまり重要でないというのです。
しかし、その事実は男性が活動的で女性は待つ身という人間の性別イメージによって霞んでいました。
アリストテレスを悩ませたミツバチ
例えば古代のギリシア人たちは、ミツバチの社会性に気づいていたといいます。ですが、巣箱の周囲でだらだと過ごし交尾の時期だけ活発になる”ドローン”という階級について解明されるのは、何千年もあとのことです。
実は巣の周囲でダラダラしていて蜜集めに出かけない”ドローン”はオスで、遠くまで飛び回る働きバチはメスなのですが、アリストテレスはミツバチが雌雄同体だと考えたそうです。
なぜなら、せっせと蜜を集めて敵を刺す武器を持った働きバチはオスに決まっていると考えるわけで、そうしないとオスが巣で子育てを担当していることになってしまうのですから。
女性が家庭を守るという昔の社会的通念が、昆虫の生態解明にフィルターをかけていたのですね!
昆虫はオスが働き者という思い込みが研究に与える影響昆虫をモチーフにした作品を思い出してください。
みなしごハッチは女王の息子ですし、「アンツ 」も「バグズ・ライフ
」も主人公はオスです。
あなたが兵隊アリを想像しても、オスのイメージを抱くのではないでしょうか?(実際はメス)
マレーネ・ズク女史は、こうした思い込みは意外と研究に影響を与えているといいます。
科学の研究では、人間の代わりにラットやハエなどを実験対象としています。
ラットやハエに起こる現象は人にも当てはまるという前提のもとに実験をしています。
こうしたモデル研究は往々にして正しいのですが、研究の進んでいない謎の多い昆虫を調査するときに、性別の思い込みが解明を遅らせていることがあるそうです。
まとめ
「さそり座の女」の再生がとっくに終わってしまっていましたらごめんなさい。冒頭でヘイト5ツールプレイヤーとしてご紹介をさせていただきました昆虫。
プレゼンテーションの動画ではそんな昆虫たちの生態(性態)に、多くの人々が声を上げて楽しんでいます。
特に女性の声が目立つようですね。