コミュ障という言葉が広く用いられるようになったのは、現代になって無理のある対人状況などに注目されてきたことが大きいのでしょうが、そもそもコミュニケーションが苦手なことがいけないことだという認識が私たちの中にあるということではないでしょうか。
インスタグラムでもてはやされるのは仲間と充実したディナーを楽しむ様子ですし、社会には人と関わっていくことがよしという通念があるように思われます。
多くの人に影響を与え、あるいは働きかけていくことは素晴らしいことであって、反対に、部屋の隅で黙々としていつも他人の意見に同調ばかりしている内向的な人は陰だというイメージがあります。
しかし、本当に内向的なことはいけないことなのでしょうか。
内向的な人だけがもつ秘めた力についてみていきましょう。
人口の30%~50%は内向的な人
内向的な人は人口のおよそ3割から半分程度いると考えられているそうです。あなたの隣の部屋の人、友達、家族、同僚もたいていは内向的だということです。
その割合はあなたが考えているよりも多いでしょうか?少ないでしょうか?
内向的な人は、社会的な圧力から不利を被っているというのです。
内向的なのはよくないという社会 新集団思考とは

今の社会では、創造性だとか生産性は社交的な場面から生まれるのだという信念、新集団思考のもとに成り立っているというのです。
そして知らずのうちに、内向的な人は自分に合っていないとわかっていても背伸びをして外向的なふりをしているのではないかと問いました。
友達に合わせて行動したり、社会的に外向的な人がよしとされているために、そういった人でいられるように振る舞っているのではないかと考えました。
内向的であるのに外向的なふりをするのはよくない
ケイン氏はさらに、一人で落ち着いた時間を過ごすのが好きな人が外向的な振る舞いをしているのは、2つの点でよくないといいます。①自己否定的である
一人で作業に没頭することが得意だったり、本を読んで過ごしたりするほうがいい人が、付き合いの飲みで騒いだり共同作業をすることこそがいいのだと考えることは、自分の気持ちを否定している。②才能が死んでいる
内向的な人は外向的な人よりも冷静な判断ができたり、個人の取り組みにおいて創造性を発揮することが分かっています。テストの成績も内向的な人の方が外向的な人よりも高い傾向にあるそうです。
しかし、内向的な人たちが社交的に振る舞うことを求められていることによって、そうした才能が発揮できていないというのです。
内向的な人の秘めた才能
内向的なひとであれ、外向的な人であれ、各個人が優れた能力を発揮するのは、その人に合った状況や環境が大事なのだとケイン氏は述べています。内向的な人は静かで目立たぬ環境にいることでやる気にもなるし実力を発揮できるのです。
①内向的なリーダーはよい

しかし、ウォートン経営大学院のアダム・グラントの研究結果では、内向的なリーダーは外向的なリーダーよりもいい結果を生むとわかっています。
・メンバーの意見を拾える
内向的なリーダーはメンバーがアイデアを出すことを促し、注意深い判断ができます。それに対して外向的なリーダーは、結果として自分で仕切ることになりやすく、メンバーからのアイデアを封殺してしまう傾向にあったというのです。
・メンバーからやっかみを受けない
内向的なリーダーは、表立つことや目立つことが嫌いなのにも関わらず、リーダーという立場にならざるを得なかったがためになったのだ。こんなようにメンバーは考える傾向にあるそうです。
人に指図したりするという権力を振りかざすためではなく、自らの信念のために動いているのだという印象が、内向的なリーダーにプラスに作用すると考えられています。
②内向的な人は創造的

・グループは創造性をつぶす
集団での取り組みは、アイデアをつぶしてしまうと言います。なぜなら、他の人の意見を無意識的に真似したり同調してしまうためです。
どんな人を素敵に感じるか?というような直感的な個人の印象も、無意識に他者の発言に流されてしまうそうです。
集団で創造性のある議論をするには
ケイン氏は、グループでの作業がすべて悪だと言っているわけではありません。1人で個人独自のアイデアを先に考えてきてから話し合いを持つことを勧めています。
内向的に生きよう

①グループワークへのこだわりをやめよう
個人のプライバシーや自由度がもっと担保されて、自律性を発揮できるような環境づくりをすましょう。子供たちには、共同作業の大切さだけではなく、一人で集中する方法を教えましょう。
一人で作業することで、深い思考が生まれるといいます。
②一人になって、物思いにふけよう
キリストやブッダも荒野や森で過ごした一人の時間から啓示を見つけています。SNSの着信や人々の喧騒からはなれて、自分と向き合う時間を増やしましょう。
③自分の夢中になるものを発信しよう
あなたが好きなことを、それが本であれゲームであれミュージシャンであれ格言であれ、他の人に共有しましょう。あなたのエネルギーとなるもの、喜びの感情をことあるごとに他者にシェアしましょう。
まとめ
親戚の付き合いは面倒。会社の飲み会は嫌だし、町内会の付き合いなんてもっと嫌。嫌ならそれでいいのです。あなたが無理して社交的な人を演じているのだとしたら、それはやめるべきです。