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都市の環境汚染を解消する鍵は牡蠣にあり:ケイト・オルフ

日本や西洋諸国のように20世紀から近代化をしている国家は,人口増加やインフラに対応するために都市開発をすすめてきました。
この開発は,建造物をつくるという点にのみ主眼が置かれたので,環境や自然との共生という点で弊害が出ています。
下水による海水汚染,悪臭,浜の消滅,海面上昇がたびたびメディアで取り沙汰されています。
こうした問題を,牡蠣一つでかき消してしまおうというアイデアがあります。

簡単に説明すると(目次)



都市デザインの匠

牡蠣を使った都市デザインプロジェクトを掲げるのは,建築家のケイト・オルフです。
彼女はランドスケープ・アーキテクチャーとニューヨークの建築家連合の副会長で,都市は開発と生態学という2つの分野をリンクさせる試みをしようとしています。

都市はみな海に面している

東京,仙台,横浜,名古屋,大阪,福岡。
都市開発は,海の近くに計画されることがほとんどです。
かつて交易の中心が港にあったということや,平地の存在,排水の利点が挙げられます。

都市開発はこうして行われてきた

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ニューヨーク,自由の女神
アメリカ・ニューヨーク市も同じような都市です。
オルフ氏によれば,都市開発は土地をフラットにするように削られてきたといいます。
その様子を地図でみると,まるで虫食いのように見えます。
このことから土地がくっきりと削り取られることをスプロール現象といいます。
陸と海の境目は,コンクリートによって固められてくっきりとしています。

ニューヨーク湾が直面する問題

ニューヨーク湾周辺では,下水が溢れたり海水が汚染されるという問題が発生しています。都市化だけでなく高潮や海面上昇といった要因がこれらの汚染を進めているといいます。

都市開発問題の打開策

オルフ氏は,ニューヨーク湾の外に点在する島々では,ビーチや塩沼が自然の波を減衰させていることに着目。
ニューヨーク湾のなかに同じような“礁”を作ることで都市基盤を保つことができ,そこに綺麗な水さえあれば自然と共生できると考えました。
そして,その鍵とは牡蠣であるというのです。
オルフ氏はニューヨーク湾の外にある小島では,手のひら大の牡蠣が沢山採れていることに気づいたのです。

オイスター・テクチャー

オルフ氏は,オイスター・テクチャーというプロジェクトをニューヨーク湾で実施しました。
牡蠣をはじめとする湾の生物がもつ力と,地域住民のパワーを使ったプロジェクトです。

Fluspy浮遊湧昇システム

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浮遊湧昇システム
牡蠣は岩場にくっついて成長しますが,一般的に養殖の場合にはロープが使われます。
オイスター・テクチャーでは,牡蠣の生育場の上にいかだを浮かべたものをたくさん用意します。
生育場は箱のようになっていて,それついたファンが水流を起こし,牡蠣の子供を生育場に誘い食べ物と隠れ場所を提供します。
その中で育った牡蠣が数10,000匹という単位で外へ飛び出していきます。
そのいかだの上は,水陸両用の臨海公園のように人々が使うことができます。



牡蠣が環境改善に役立つわけ

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牡蠣のもつオイスターパワー
では,なぜ牡蠣の力を用いるでしょうか。
牡蠣の力が,都市の水質や生態系を改善するは,牡蠣の生態が鍵でした。

牡蠣はお掃除屋さん

牡蠣は,藻や有機堆積物という汚水の原因物資を取り込んで体内でろ過し,きれいな水を排出します。

牡蠣がろ過する水量がすごい!

一匹の牡蠣が一日に何リットルの水を取り込むと思いますか?
手のひらサイズの牡蠣,なんと一匹で1日に200リットルの水をろ過できるのです!
かつてニューヨーク湾の名産は牡蠣だったそうですが,そのころにあった牡蠣礁はニューヨーク湾の25%を占めていました。
ニューヨーク湾内の水は,これらの牡蠣たちが数日でろ過できたのです。

牡蠣の殻は天然の防波堤で他の生物の住まいになる

牡蠣は,生まれて水中を浮遊しているとき,大人の牡蠣に付着するのです。
お互いに引っ付いて塊になる性質があるのです。
牡蠣による”礁”は天然の防波堤になり波を消すだけではなく,他の生き物たちの隠れ家として機能します。
生態系を一気に豊かにさせる力を持っているのです。



オイスター・テクチャーは過去から得られた着想

オイスター・テクチャーが,牡蠣の生態によるメカニズムを設定するための仕掛けだったことが分かりました。
かつて,ニューヨークは牡蠣養殖が盛んだったといいます。
街には露店が並び,摩天楼も牡蠣の上に建てられました。
都市開発が牡蠣たちのサイクルを壊してしまったことでバランスを失し,汚染問題が生まれました。
地元に本来あった生態系の自浄作用を再び取り入れることが,都市問題の解決につながるのですね。
これからの都市開発は自然との調和をデザインするものであってほしいですね。