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3つの賢い節水方法を水不足の国から学ぶ ラナ・マザラ【TED】

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水が足りない
水の国、日本。
国土38万㎢の70%近くを森林が占め、水の豊かな生活を送ることができます。

何年かに一度、少雨の年にはダムの貯水率が一ケタになり、節水が叫ばれてニュースになりますが、それでも私たちは大量の水に囲まれて生活しています。

日本は人口あたりの降水量は世界平均の半分を下回りますが、ダムに貯水することによって降水のない季節も安定した水を手に入れています。


しかし世界に目を向けてみると、水は貴重な資源の一つです。
深刻な慢性的水不足のもとに生活することを余儀なくされている人々がいっぱいいます。

ボストン・コンサルティング・グループの社会影響部門のプロジェクトリーダーであるラナ・マザラ。

貯水量が少ない国ヨルダンで育った彼女が、水不足の危機に対する有効な手立て3つを紹介します。

実際に水不足の国で実践された節水方法です。
慢性的水不足の国の生活の様子がよくわかります!
スケールが大きいものからコスパの良いものまで必見です。

自分の名前の次に覚えたのは節水

ヨルダンに育ったマザラ氏。

ヨルダンは1973年以来絶対的に水不足なのだとか。降水量が少なく、地価の帯水層の水量も減少。

そればかりか出生率の上昇と移民の流入が水不足に拍車をかけています。

風船で遊ぶ時には水の代わりに小麦粉をいれ、アイスバケツチャレンジの際には砂を使ったそうです。

世界の3分の1の人が水不足危機に瀕している

国連食糧農業機関のデータでは、調査されている国の中で水が豊富な国に住んでいる人は世界でたった5%なのだという。

そして、3分の1の人が水不足の生活を送っている。

そうした人々がどのようにして水不足の危機を乗り越えているのか見てみましょう。



水不足の危機をいかにして乗り越えたか

①貯水量を示す掲示板を出す

まるで温度計のように、貯水量を掲示する。たったそれだけです。

オーストラリアのメルボルンでは、1997年~2009年の間、大規模な干ばつに瀕しました。

水位は平時の25%にまで低下したそうですが、メルボルン市は節水の呼びかけを一切しなかったそうです。

代わりに町中に貯水量を示した電光掲示板を出すことによって、現状の水量を市民に提示しました。

その結果、3人に1人の市民が自宅に雨水を貯めるためのタンクを用意したそうです。

実際の貯水量を人々にさらけ出すことによって、メルボルンの人々は緊急事態を認識して一人一人の問題だと自覚するようになりました。

体重や試験対策などにも応用できると思います。
数値を目に入る場所に掲示することにより、自然と問題に向き合うようになるのです。

②節水をサポートする自治体の施策

・メルボルンの場合 1人あたりの水使用を5割減

先ほどに引き続きメルボルンのケースです。
自治体は人々に節水の意識が生まれることを期待しましたが、課題だったのがシャワーの時間です。
特に女性はシャワーの時間を短くすることには抵抗がありました。
プライベートの空間でありリラックスの時間であるからです。
市は当初、節水タイプのシャワーヘッドを無料配布したのですが、デザインや規格の違いから実用的ではないと不満があがりました。

そこで、既存のシャワーヘッドに取り付け可能な水流調整装置を開発したところ、46万個以上のシャワーヘッドが交換されたそうです。

人々が進んで節水するような手軽でユニークな対策を取り入れたことで、メルボルンでは1人あたりの水消費を50%下げることに成功しました。

行動を生むのは環境を設定することがいいです。
例えば、目標を達成するためには似たような目標に向かう人たちと一緒にいると、心理的にも物理的にも自分の取り組みを促進してくれます。
ためになる情報も集まりますよね。

・アラブ首長国連邦 ビジネスヒーローツールキット

国家レベルの取り組みで企業の節水を促進させたのは、世界ワースト2位で水が足りないUAEです。

ビジネスヒーローツールキットという、水消費や使用量計測法を学ぶためのツールを企業に無料で配布しました。

企業はここから水を節約するためのアイディアを学び、やがてコミュニティを作りました。

節水の目標を掲げて競い合う取り組みができたのです。
企業は平均35%の節水を達成しました。

ライバルと競って、勝ち抜いたときに報酬があるとその行動は強化されます。
モチベーションの維持になりますよね!

③マリーナバラージ 国土の6分の1をダムにする 根本的な政策

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マリーナ・バラージ
水不足の問題を大規模なプロジェクトで解決したのは、シンガポール。
なんと、水需要の6割を輸入でまかなっています。

シンガポールはマレー半島の突端にある小さな島国で、水を貯水するための土地がないという問題がありました。

そこで、世界史上初の都市貯水池マリーナバラージを建設しました。

マリーナバラージ建設以降、水の供給量が10%増加し、海と繋がるこのダムは標高の低いエリアを洪水から守り、そして何より観光施設として人々を魅了するようになりました。

とても画期的な施策です。
ないなら作ればいいじゃん!の精神ですね!
マリーナ・バラージ、行ってみたい!

まとめ

 
水不足の状況に陥った時に、私たちは冷静に行動できるでしょうか?
1週間程度のものであれば何とか乗り切れるかもしれません。
しかし異常気象の続く現在、そうはいかなくなったときは、こうした国々の施策から工夫のヒントを得ることが大事になってくるかもしれませんね!

簡単に説明すると
①状態を可視化することで意識が向く
②環境が行動を促す
③競争が行動を強化する