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AIロボット研究のヒントは生物の集団知能にある!ラディカ・ナグパール【TED】

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ドロイド軍団
ペッパー君やSiriなど、科学の技術は機械の処理を躍進させてきました。
人工知能AIが現実化し、社会の中で存在感を増しています。
それでも、AIたちが社会性をもって人間のように集団をつくる様子はありません。
しかし現在、集団で働くAIについての研究があります。
映画「スター・ウォーズ」に登場するようなドロイド軍団の登場も近いと感じさせますよ。
簡単に説明すると(目次)



AI(人工知能)の課題

ラディカ・ナグパールはコンピューター科学者で、なかでも人工知能を専門としています。
ナグパール氏いわく、AI分野の重要テーマはいかに自然に近づけるかということ。
現在の機械の働きは、プログラミングによる人間主体になっているといいます。

AI(人工知能)のカギは魚の群れに

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魚の群れがAI軍団のヒントに
ナグパール氏は院生時代、バハマの海でシュノーケリングをし、魚の群れをみた時に思ったそうです。
魚の群れにはリーダーとなる存在がいないのに、1つの存在として一体感を保っている。
1匹の魚には全体の動きを把握していないはずで、身の回りのことしかわからないはずなのに、集団の知能が働いているかのように見える。
これはいったいどういうことなのだろうかと。

AIの集団行動の形成

その結果、近くにいる一匹一匹の魚がお互いに作用することで全体を形成していることに気づいたと言います。
その行動規則をAIに作り出すことができれば、AIの集団行動を生むことができると考えました。

AIロボット1千台のコロニー

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ちっちゃいロボットがいっぱい!
ナグパール氏の初期の挑戦が、こちらのロボット1千台のコロニーです。
わずか100円硬貨ほどの大きさですが、集団的な知性を発揮できるプログラムを施したそうです。
他のロボットと無線で交信し、互いの距離を認識することができます。

1千台のAIロボットが作る”人文字”

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横向きのK よく見ると1つ1つがロボット
この写真は、1千台のミニロボットたちが「K」を作っている様子です。
決して人間がプログラムしたわけではなく、個々のロボットが互いに交信することで自身の行くべき場所を判断して動いています。
個別のロボットがあたかも集団の意思があるかのように振る舞う背景には、単純な規則がありました。



自己組織化のための規則

こうしたロボットが集団で一つの意思を持つように見られるわけは、シンプルな規則に秘密がありました。
例えば、動作に関する規則。
作業中のロボットは止まっている個体の周りを回ることができる。
パターンの規則では、隣り合った個体の色によって自分の色を決めるといった具合です。
たった、この2つの規則があるだけで、ロボット群はシンプルな線形パターンを描くように動くことができます。
それに加えて、より複雑なルールやエラーを訂正する規則を加えていくだけで、集団の働きをより細かく指定することができるというわけです。

AIロボットの規則は3次元に

Kの文字を作ったロボットは幅と奥行きの2次元のレベルでの活動でした。
ルールを工夫するだけで、高さを加えた3次元的な活動をさせることも可能です。

自然界の例

3次元の活動をするロボットの参考となる生物にアリがあります。
アリのような社会的昆虫は、アリ塚を築きます。
泥や自分の身体を使って複雑な構造の巣をつくるわけですが、パターン規則に基づき動いているというのです。

規則を与え、規則に見合ったロボットを作る

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AI軍団は立体的な構造にも対応!
ナグパール氏は、ロボットに3次元的な活動をさせることは簡単だといいます。
全体を俯瞰して、当てはまる場所を探す規則と、すでに存在するブロックをみてそこにブロックを置くべきか判断をする規則を与えるだけです。
そうした規則ができたら、その規則通りに動くことが可能な躯体を作るだけです。
ブロックを持ち上げ、運び、上ることができ、降ろすことができるロボットです。
こうしたロボットはは、将来的に建設現場で活躍することが期待されています。

集団的知性を持ったロボットたちの応用

こうした、相互的な作用ができるロボットたちは、様々な分野での活躍が期待されています。
洪水を防ぐ堤防を作る、農作物の受粉を行うハチ型ロボット、サンゴの監視をする水中ロボット、さらには宇宙に飛び出して探査をしたり、宇宙ゴミの処理をするなどです。



まとめ

今回は、集団ではたらく機能を持ったロボットについてでした。
夕暮れの空に鳥の大群が龍を作る光景にあっけにとられた経験があります。
ロボット技術が発展している現在、AIが生活を豊かにしてくれる一方で、人間の仕事を奪うなどと揶揄され、将来的にはAIとの戦争が起こるんだという説まで語られています。
宅配便が空を飛びかい、ビルが自動で建つ時代はもう鼻の先まで来ているかもしれません。
ロボットたちにC3-POやR2-D2のような愛嬌があることを祈るばかりです。