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眠れ!睡眠不足はアルツハイマーの原因に!脳と老廃物【TED】

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あなたは今日までの一週間に何時間寝ましたか?

頭がぼーっとしたり、気分が優れなかったりしたら、それは慢性的な睡眠不足のせいかもしれません。

睡眠不足で頭が鈍くなったり気持ちが落ち込んでしまったりといった問題が引き起こされるメカニズムについて、脳神経科学者のジェフ・イリフ氏は脳と老廃物の観点から解説しました。

老廃物の中でも特にアルツハイマー患者にみられる毒素に焦点が当てられています。

簡単に説明すると(目次)

老廃物とは私たちの活動の副産物

まず、身体が生み出す老廃物とは、いったい何のことなのでしょう?

老廃物というと、真っ先に思いつくのが排泄物だと思います。

私たちは食べ物を食べ、食べ物かの栄養から得られたエネルギーによって身体を動かしたり思考を巡らしたりしています。

排泄物は、私たちが栄養を取り出すときに発生したもの、エネルギーとして使われなかったもの、そして身体の古くなった組織が含まれています。

栄養の供給と老廃物の排出は表裏一体の関係です。

この仕組みは、私たちの身体を構成する細胞のひとつひとつでも行われています。

それでは、脳の栄養供給と老廃物の排出の仕組みについてみてみましょう。

脳への栄養供給の仕組み

私たちの身体のすべての器官は、細胞に栄養が供給されることで働いています。

脳みそも同じです。

脳は、身体のエネルギー消費のうち4分の1を占めています。質量が体重の2%しかない、つまり、体重が50kgの人で1kgほどしかないのにも関わらずです。

そんな、身体のすみずみにある細胞に栄養や酸素を届けているのは心臓です。

私たちが取り込んだ栄養素は血中に溶け込むと、その血液が心臓から送りだされ、血管を通して細胞にもたらされます。

脳には脳の表面から脳の組織のなかまで複雑に脳内血管が張り巡らされていて、その役目を果たしています。

老廃物排出の仕組み

先ほど、老廃物排出は栄養補給と表裏一体だと話しました。

老廃物排出は、私たちの身体の細胞が活動をするうえで必要なことです。

しかし、老廃物排出の仕組みは、身体と脳ではだいぶ違っているようです。

身体の老廃物排出の仕組み

リンパ管って聞いたことありますか?

よく、風邪をひいたときなどにお医者様からリンパが腫れていますねと言われたことがあると思います。

実はこのリンパは老廃物の排出のための組織です。

血管と同じように体中に張り巡らされていて、タンパク質だとかさまざまな老廃物を細胞から集めて血中へと排出しています。

脳にはリンパがない

イリフ氏は、人体図を提示して見せました。

なんと、脳にはリンパ管がないのです。

脳の活動は盛んで、エネルギーを一番必要とする器官です。

ということは、老廃物も大量に排出されるはずです。

しかし、身体では老廃物を排出していたはずのリンパ管が、脳にはないのです。

脳は頭蓋骨の中にびっしりと詰まっているため、リンパ管の入り込む余裕がなかったのです。

脳と身体では老廃物排出の仕方が違うのです。



では一体、脳はどうやって老廃物を排出しているのでしょうか?

脳の老廃物排出の仕組み

脳の老廃物排出の仕組みはとても独特でした。

イリフ氏の研究によると、脳を満たす液体が脳の老廃物を排出していることが分かりました。
加えて、その仕組みはなんと寝ているときにしか活発にならないことが明らかとなったのです。

脳を満たす液体

脳を満たす液体は脳脊髄液といって、無色透明の液体です。

脳内から作り出された脳脊髄液は脳を満たし、ほかの老廃物と一緒に血中に排出されます。

脳脊髄液が老廃物を排出する特別なシステム

脳脊髄液は、ただ単に脳を満たしていて、そこに脳みそから老廃物が染みだしているわけではありません。

イリフ氏が生きたネズミの脳で研究したところ、脳脊髄液は脳内に張り巡らされた血管の外壁を伝わって、脳の内部へと流れ込んでいたのです。

頭蓋骨の中にぎゅうぎゅうに押し込められた脳。

その限られたスペースで効率よく老廃物の排出を行うために、すでにあった血管を利用していたというわけなのです。

脳を除く身体の器官は、老廃物の排出をすべてリンパ管によって行っているので、

脳脊髄液を用いたこのシステムは独特です。そこに、睡眠が大切な理由が潜んでいます!

脳脊髄液の老廃物排出は、睡眠時にしか起こらない

イリフ氏は、脳脊髄液の老廃物排出についてさらに詳しく研究しました。

起きているときのマウスと、睡眠時のマウスの脳内を見てみたのです。

すると、脳脊髄液のはたらきは、睡眠時にのみ活発になることが分かりました。

が寝ていると、脳細胞の間に隙間が生まれます。
脳細胞が縮むためです。そうすることによって脳脊髄液が流れやすくなり、脳の老廃物を排出させていたことが分かりました。

脳が起きているときはお掃除を後回しにして、脳がお休みしているときに脳をお掃除していたのですね!
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ここまで、脳の老廃物は睡眠時にしか排出されないことを説明してきました。

それでは、”老廃物”とはいったいどんなもので、老廃物が溜まってしまうと何が起こってしまうのでしょうか?

睡眠時に排出される老廃物とは何か?

イリフ氏は、睡眠時と起きているときの脳脊髄液の働きを詳細に調べました。

老廃物の除去速度を、睡眠時と起きているときで比較したとき、
ある物質の除去速度に明らかな違いがあることが分かりました。

アミロイドベーターというたんぱく質です。

アミロイドベーターの除去速度は、睡眠時に飛躍的にアップします。
反対に、覚醒時には全く機能しません。

アミロイドベーターとは、いったい何なのでしょうか?

睡眠時に除去されるアミロイドベーター

アミロイドベーターとは、アルツハイマー患者の脳に大量に蓄積されていることが明らかとなっています。
アミロイドβとは〜アルツハイマー型認知症の原因を探る | 認知症ねっと

なんと、アミロイドベーターと一般的な人の睡眠時間や質の間に、関連があることがわかりました。

イリフ氏は、脳の浄化作用がうまく行われないと、つまりアミロイドベーターのような老廃物が排出されないと、アルツハイマーのような症状が出やすくなる可能性を指摘しました。



眠れ! 脳の老廃物を排除する機能は睡眠にしかない

今回のテーマについてまとめると、脳の老廃物はアルツハイマーのような症状に関連していて、脳の老廃物の排出は睡眠時に行われるものです。

それは、老廃物排出の仕組みが身体と脳で違うことが鍵になっていました。

しっかりと睡眠をとることは、脳を休めるということだけに留まらず、脳をお掃除するということにも大きく関与していたのですね。

みなさん、お仕事したり勉強をして頑張った脳をしっかり休めて、お掃除させたいところですね。