例えば50年先のことを。
現在50歳の人でも100歳、30歳のあなたは80歳。
人生100歳時代を迎えて、まだまだ生活していることが考えられるでしょう。
日本社会では少子高齢化が進行し、2060年には人口の4人に1人が75歳以上になると言われています。
生産年齢人口が減るということで、未曽有の経済規模の縮小が懸念されています。
しかし、ピート・アルコーンは人口減は悲劇的なことではないと考えています。
むしろメリットがあるのだと。
彼が示唆したのは地球規模の人口減少に関してですが、非常に興味深い内容だと思います。
世界は人口100億から減少へ
現在、人口が減少の一途をたどる日本に対して、世界では人口爆発が起こっています。アフリカを中心とした発展途上国においてです。
その勢いはすさまじく、今世紀末にはおよそ100億人にのぼりピークを迎えるといいます。
ピークを迎えて以降、人口は下降してくと見込まれます。
人口減少が経済に与える影響
アルコーン氏は、一般的に多くの経済理論は希少性と成長を中心に構築されているといいます。需要よりも供給量が少ないこと、流れるお金の量が増えることが基盤となっているのです。
そのため、人口減少は経済の停滞や不景気を招くと考えられています。
立場が変わったアルコーン氏

マルサス主義者とは、人々の人口増加によって資源枯渇、環境破壊が進み人類は破滅するというスタンスのもと、資源利用を抑えようと主張する人のことです。
人口増とともに社会が嫌な方向に進むと考えていました。
しかし150年後、つまり地球規模で人口減少が始まるとされる未来をみたとき、この考えを捨てました。
そして、人口減少でポジティブな経済効果が生じることに気づきました。
人口減少がもたらす2つの経済効果
アルコーン氏によれば、人口減少は少なくとも2つのよい経済効果をもたらすというのです。地価の負担減少と雇用の増加です。
それは、いったいどういったことなのでしょうか。
①地価の負担減
土地をはじめとする不動産の価格は、投機的な価値として高まったといいます。投機とは、買ったものの価格が上向きに高まることを想定して、購入した後に売却することを目的とした取引のことです。
人口が増え切った後に減っていけば、土地への投機はなくなります。
そうすると、地価が下がるので貧困層にとってはよいのです。
②雇用の増加
ペストが蔓延した中世ヨーロッパは急激な人口減を経験しました。そのあとに何が起きたかご存知ですか?
社会運動です。
賃金上昇、技術革新、中流階級の誕生、ルネサンスが起きました。
人口減少は労働力不足をもたらし、労働者の賃金が上がるので貧困層や労働者階級が楽になるのです。
私たちの過去と未来史観

宗教をとっても、楽園から始まり素行不良の日々が深まっていくものばかりです。
アルコーン氏いわく、私たちは人類の歴史を古き良き時代から堕ちていく過程だと考えているといいます。
しかし、それは人口が少ないところから増加してきた文化の影響であって、人口が減少していく時代になれば明るい未来を想像するのです。
まとめ
アルコーン氏は最後に、地主が資産を失って労働者が賃上げを要求し始める時、社会が混乱することを憂いています。しかし、先のように前向きな視点をもっていれば時代の転換作用が早まって、それを乗り切れると考えています。
現代の日本社会は、どうなるのでしょうか。
年金は本当に払われるのでしょうか。
北海道、東北の山間部を中心に中国人が土地を買い占めているというニュースがあります。
日本は皮肉にも少子高齢化や人口減少に関してはパイオニアです。
世界で前例がないのです。
未知の時代の到来に私たちは対処できるのでしょうか。